魔法使いの恋

heavy-rain
2012年09月01日
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やっとの思いで魔法使いになれた少女に
師匠である魔女王が告げた。
 
 「ひとに恋をすると、魔法は使えなくなる
  そして、ひととセックスをしても
  魔法は使えなくなる

  一度失った魔法を取り戻すには
  自分の手で、その侵された部分を
  取り除いてしまうことだ」
 
 
少女は頷いた。
 
 
魔法使いとして数年を過ごした。
そしてある若者に恋をした。
それは完全な片思いであり、若者の眼中には、ある美しい女性しか映っていなかった。
魔法使いはその女性を魔法で醜くしよおとしたが出来なかった。
 
魔法を失ってしまったのだった。

 
魔法使いは自分を取り戻すために、侵された部分を自分の手で取り除こうと思った。
抱いてしまった恋心。果たしてその場所はどこか。
 
魔法使いは若者のことを思うと一番傷んだ場所を選んだ。
 
ナイフを手にとると、自分の心臓を取り出した。
 

その瞬間、魔法が戻ってきた。
もう若者に恋はしてなかった。

 
その後また十数年が経った。


魔法使いはまた恋に落ちた。前の若者にどこかにた男性。
しかし今度は胸は痛まなかった。
心臓を持っていないのだから、当たり前だった。
 
でもやはり、魔法は使えなくなった。
魔法使いは自分のどこが痛むのかを探った。
頭の中のよおな気もするのだけれど、ハッキリとしない。
どこか違う気がした。
 
夜、町はずれの道をふらふらと歩いていると、数人の男性に取り囲まれた。
魔法使いは立ち止まって不思議そうに彼らの顔を見た。
ひとりの男が後から魔法使いを羽交い締めにすると、地面にひきずりおろした。
魔法使いはびっくりして抵抗した。
別の男が魔法使いの片足を、また別の男がもう片足を押さえつけた。
そおして4人目の男が魔法使いを犯した。
 
男たちは交代に何度も魔法使いを犯した。
 
 
明け方、魔法使いは地面の上でぼんやりと空を見ていた。
服はズタズタに引き裂かれていた。あちらこちらに擦り傷ができ、股間からは大量の血と白いどろりとした液体がまじったものが流れ出てきて、地面にしみ込んでいった。
 
魔法使いはゆっくりと起き上がると、その血の出ている場所に手をつっこみ、奥にある袋を取り出した。
 
その瞬間に魔法がもどった。
 
セックスで侵された部分と、男性に恋した部分は同じだったのだと気がついた。
 
 
魔法使いはもう二度と、ひとを恋することはなかった。
その代わりに別のものに恋するよおになったのだ。
 
それは月の冷たさや鋭さだったり、水銀の流動性や光沢だったり、狂人の歪んでいるけれども純度の高い、突き刺さるよおな感性だったり。
 
魔女王が言ったのは「ひとに恋をすると…」だった。
その言葉通り、ひと以外のものに恋しても魔法は消えなかった。
 
そおして魔法使いは何百年も生きた。
魔法を使うことがなくなっても、自分が生きていることで、まだ魔法が残っていることが分かっていた。
 
そおして今も生き続けているのだった。